私の育てているパッションフルーツは、紫100、ルビースター、エドゥリス黄実、黄果皮ジャンボ、赤紫果皮ジャンボの5種ですが、これらは、7~10cmと花のサイズこそ違えど、このように白を基調に内側に紫色が入るたくさんのひげのような副冠と、白い花弁と萼を特徴とした花を咲かせます。そして、これらの種の全てが、トケイソウ科パッシフローラ・エドゥリス属の亜種ということになります。一般にパッションフルーツとは、パッシフローラ・エドゥリス(=クダモノトケイソウ)の実を指します。「エドゥリス」とは、「食用」という意味です。
一方、直径100mm~120mmになるこの花の画像を見ると、その派手さからか、まずは「何者?」と思ってしまいます。形的には「ひっくり返ったイソギンチャク」のようでもありますが、花弁と萼を見る限り、トケイソウ科の花のように見えます。
しかし、その色合いはエドゥリスとは一線を画します。花弁と萼は薄紫~紫色で、先端が紫色の副冠には、
白と紫の横縞が入り、その派手さが目を引きます。
花の香りは、さながら「強い西洋石鹸」で、室内で開花すると、部屋中に香りが広がるそうです。
これは、パッシフロラ・アラタ(passiflora alata)という種です。トケイソウ科パッシフロラ・アラタ属に属するもので、このように派手な色合いで、副冠を垂らしたように咲く亜種全体をブラジルトケイソウということもあるようです。長さ12cmと、黄果皮ジャンボや赤紫果皮ジャンボを凌ぐ大きさになるアラタの実も食用ですが、酸味が少なく甘いのが特徴で、スウィート・パッションという異名で呼ばれることもあります。
以上のように、アラタについて調べてくると、私には魅力的に映ります。異彩を放つ花、大きな実、要は、未体験のスペックに好奇心をくすぐられるのです。
そこで、アラタの栽培について調べたのですが、結果的に言うと、残念ながら、「フラワーショップ江口さんが出荷保留としている理由の一旦が見えた」ということになってしまいました。
基本的に、高温多湿に弱く、日本の夏の環境には適さず、更に、とにかく結果率が悪いようです。一応、自家不親和性とされていますが、じつのところ、(アラタには自家受粉性のある株も存在するらしく)自家受粉での結実も確認されているのですが、何れにせよ20%程度の結果率のようです。
多くの実を得ることが目的ならば、スペース効率が悪くなるのは間違いなさそうですが、派手で異彩を放つ花がお目当てであれば、お勧めの種とも言えそうです。
私の場合には、収穫に拘りたいので、敷地面積50坪あまりの小さな一戸建てに住むという環境を考えると、ちょっとアラタにスペースを割くわけにはいかなそうです。