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種による成長差

五月も初旬から中旬へという今の時期、遠目にもわかるパッションフルーツの成長を見るにはもう少し我慢の時期ではあります。

今年のパッションフルーツのラインナップはと言いますと、

  • エドゥリス紫系(7本)
  • 黄果皮ジャンボ(1本)
  • 赤紫果皮ジャンボ(1本)

の3種、9本です。

本題に入る前に、各種の特徴を簡単に説明しましょう。

でかっエドゥリス紫系には、いろいろな亜種かありますが、ホームセンターなどで良く売られている紫色の果実がなるタイプ(画像右の小さい方)です。同一の花の花粉で受粉できます(=自家親和性)ので、収穫に至ることが容易な種と言えます。味に感じても、これが最もおいしいという方が多いようです。
一方の黄色と赤紫のジャンボ種(画像左は黄果皮ジャンボの果実)は、他種の花粉を授粉する必要のある自家不親和性(学術的には、『自家不和合性』という方が正しいかもしれません。)であるために、果実を得るハードルが高まります。つまり、黄果皮ジャンボのメシベには、赤紫果皮ジャンボの花粉を、赤紫果皮ジャンボのメシベには、黄果皮ジャンボの花粉をというように、花粉を相互交換して授粉する必要があるのです。当然ながら、一方の花が咲いても、他方の花が咲いていないという、タイミングの問題につきあたります。ただし、得られる果実はその名のとおりジャンボで、パッションフルーツ最大の長さ100mm、重さ200g超(エドゥリス紫系は概ね70g)のものも出現します。受粉の困難さから、果実は少し希少と言えます。味に関しては、おいしいと思うのですが、タネにエグ味があり、それが口に残ります。ただ、コーヒーの苦味のようにこれをおいしいと思われるかたもいらっしゃると思いますので、端的な意見は述べることはできないでしょう。授粉の困難さから、マニア向けの種で、私の場合にはプロショップから苗を取り寄せました。果実を得るための一段高度なハードルを設定しながら、豪快に大きな果実がぶら下がるさまを眺めたいかたには最適でしょう。
現在の我が家のジャンボ種は、昨年挿し木を差しあげたご家庭からの出戻りなのです。マニアックさも、果実の大きさも必要なかったのですね。挿し木を取った親株は、冬季の温室崩壊で枯れてしまいましたので、マニアック好きの私にはちょうどよかったです。

さて、エドゥリス紫系とジャンボ系(昨年の観察では、黄色と赤紫と果実の色は違っても、それ以外の特性は同じでした)今頃の育ち具合ですが、どんな感じでしょうか。冬を同じ環境で越した(ご近所からいただいたのです)株に関して比較してみましょう。20140510エドゥリス紫これは、エドゥリス紫系の現在のようすです。赤〇のの柔らかそうな葉のある部分が、最近伸びた部分です。右側の葉は、昨年からあった葉でしょう。蔓が数センチ伸び、葉が広がってきています。

20160510黄果皮ジャンボ黄果皮ジャンボは、ようやく新芽を萌芽し、新芽が膨らみ、複数の小さな葉が分離しようとしているのがわかります。

20160510赤紫果皮ジャンボ赤紫果皮ジャンボは、新芽そのものですが、黄果皮ジャンボとの差は、数日程度でしょう。

要は、エドゥリス紫系と、ジャンボ系の5月初旬頃の様子には差があるのです。実のところ、もう少したつと、この差はもっと広がるのです。

それを、それぞれの開花期で説明すると、春~初夏開花期まとめ昨年のデータによると、エドゥリス紫系は、今月末頃には開花が始まるかもしれないのに比べ、ジャンボ系では、約一月開花の開始時期が遅れるのです。それだけ、ジャンボ系は春の苗の動きだしが遅く夏型と言えるのです。ただし、一旦成長に加速がかかると、ジャンボ系は猛烈で、最終的にはエドゥリス紫よりも濃い緑を提供します。

エドゥリス紫系は、同種のみ、または一本でも果実が得られますし、果実の味も良く、良い種です。
しかし、ジャンボ系にも(作出されていますので、野生ではないにせよ、)ワイルドな成長ぶりと大きな果実という魅力がありますので、持っていても面白い種ですよ。