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黄色種のパッションフルーツが無事冬越し

お勧めのパッションフルーツ種でもお話したとおり、黄色種のパッションフルーツは、国内によく出回っている紫種と比べた場合に、実の収穫に至るまでの難易度が高く、初めてパッションフルーツを育てられるかたにはお勧めできません。

その一つの理由は、寒さに弱いために、日本の冬を越すことが困難だからです。

もう一つの理由は、授粉するのに他種の花粉を要する(=自家不親和性)であるということです。授粉が成功する時間帯は、開花1時間後からの数時間しかないのに対して、花粉を提供する種が開花しているとは限らないのです。

以上のように、黄色種の実を穫るには二つの大きな難関をクリアしなくてはなりません。

黄色と紫ただし黄色実にはサイズが大きいという魅力があります。

そこで、私としては、なんとか黄色種の実を収穫しようと試みるべく、昨年苗を入手し育てていたのです。

今は桜咲くシーズンです。北関東の厳しい冬が過ぎ去った今、我が家の黄色種のパッションフルーツは、下半分などはだいぶ葉の数が寂しくなり、冬越しのダメージこそ見られるものの、無事に緑の葉を残しています。つまり、寒さに弱いという一つ目の壁をクリアしたのです。しかも、温室でもなく、リビングで観葉植物のごとくに冬を耐えてくれました。温室以外で黄色種のパッションフルーツが冬を越すのは珍しいことだと聞きます。冬を越した黄色種少しは寒さを凌げるかもと、根本に置いておいた枯葉がこんなにたくさんになっていました。リビングとは言え、冬の温度は厳しかったようです。紫種は全く葉が枯れなかったのですがね。黄色種の冬の枯葉この樹は、苗購入の季節とすればやや季節外れの昨年の6月頃、なんと69円で近所のホームセンターで売っていたものを購入。生産者名は書かれておらず、『見て食べてエコする』などと書いてある札がついていましたが、実生苗(=種をまいて育てた苗)であるため、最初の年には実はなりませんし、知識なしに外に放置すれば、最初の冬に枯れることは間違いありません。『謳い文句に多少偽りあり』ですね。とは言え、この少々小さな実生苗を昨年中には花も咲かないだろうと思いつつ育ててみましたが、黄色種の成長は紫種以上に旺盛で、たちまち写真の150cm支柱を覆いつくしたので、このサイズに止めるためにかなり刈り込みました。その旺盛さは、グリーンカーテンよりも棚用にぴったりかもしれません。予想外に、家に取り込んだ後の10月の末頃になって、花が二つ咲きました。樹としてかなり出来上がってきた証拠です。きっと今年はたくさん花が咲くでしょう。この二つの花には、とりあえずこの株の花粉で受粉してみましたが、やはりだめでした。自家不親和性種ですからあたりまえなのですが。

一つ目の難関、黄色種の冬越しはクリアしましたので、今年は、二つ目の難関である自家不親和性種の授粉実験にチャレンジしたいと思っています。

自家不親和性の種の中で、黄果皮ジャンボと赤紫果皮ジャンボという種があるのですが、それらは双方に花粉を交換して実を結ぶというような情報があります。しかし我が家の黄色種に関してはどの種の花粉を受粉するのが適切なのかといった情報がありません。とりあえず、黄ジャンボと紫ジャンボの例から、黄には紫という仮説の基、我が家の紫種の花粉で試すしかありません。成功したらラッキーですね。

更に難解な問題があります。それは、花粉を貰う黄色種と、花粉を提供する紫種の開花のタイムラグの問題です。パッションフルーツの花粉は、数時間で生殖能力を失うと言われています。そのなかで、双方ともに花が咲く日もあれば咲かない日もあって、タイミングが合わないかもしれません。時間で区切って考えても、昨年の経験から黄色種の開花時間は14:00頃、紫種は10:00頃なのです。そこで花粉の生殖能力を保つ手段が必要になります。情報によれば、花粉の低温保存という方法があるようなので、紫種の雄しべを集めて瓶詰し、冷蔵庫で保管ということになるでしょう。保管の温度条件もあるでしょうから、そこらへんは情報収集と試行が必須ですね。

あれこれと試行錯誤して、黄色い実が得られたならば、それを食した時には、格別な味となることでしょう。