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花粉のない花

お勧めのパッションフルーツの人工授粉方法などという投稿をしている私がお恥ずかしい話ですが、20150720棚にぶら下がったジャンボ種の果実黄色果皮ジャンボ、赤紫果皮ジャンボという、午後咲きの種の授粉に苦戦しています。

その要因は、高温期に出現するという花粉のない花の存在です。たくさんの蕾が連なった状態で梅雨明けを迎えましたので、非常に頭の痛い問題なのです。

今日のできごとの順をおってみましょう。

11時過ぎ、2015072111時に黄果皮ジャンボ咲く珍しいことに、午後咲きの筈の黄果皮ジャンボが午前中に開花しました。雄しべにはたっぷりと花粉が付いています。花粉のない花は高温下で咲いた場合に出現することがあるのですが、開花が早かったために暑くなる時間を避けることができたようです。
これで、赤紫果皮ジャンボが開花すれば、赤紫果皮ジャンボに授粉することが可能になりました。

12時、20150721二つ目の黄果皮ジャンボ開花二つ目の黄果皮ジャンボが開花。

そこで、11時の花粉と、12時の花粉を比較。

2015072111時開花の花粉
11時開花の花粉
2015072112時開花の花粉
12時開花の花粉

11時のものでは雄しべは花粉に覆われ、言わば雪原のごとく平坦ですが、12時のものでは、雄しべの溝のような構造が透けて見えますので、花粉の層が薄くなっているように見えます。

1時間でこの違いです。

ですから、黄果皮ジャンボに花粉を提供する赤紫果皮ジャンボが早く咲かないと困るのです。

そこで、そのサイズから、今日咲くとわかっている赤紫果皮ジャンボの蕾に自然と視線が行くのです。20150721赤紫ジャンボの蕾1「早く咲け!!」

そしてもう一つ、20150721赤紫ジャンボの蕾2「早く咲け!!」

そして13時、20150721赤紫ジャンボの花120150721赤紫ジャンボの花2ようやく二つの赤紫果皮ジャンボの花がほぼ同時に開花。

しかし手遅れでした。

20150721赤紫果皮ジャンボのおしべ
赤紫果皮ジャンボの雄しべ

花粉がまったくありません。暑い盛りの時間帯に咲く花に出やすい現象であることがわかります。

今日採取した黄果皮ジャンボの雄しべと比較すると一目瞭然です。

20150721黄果皮ジャンボの雄しべ
黄果皮ジャンボの雄しべ

こちらは、11時過ぎと12時に咲いた花からの採取ですので、花粉が付いています。こうでないといけません。

確実に結実させるという観点からすると残念ですが、赤紫果皮ジャンボから花粉をもらえないことになった黄果皮ジャンボの花は、エドゥリス紫系の交配実験に使いました。20150721黄果皮ジャンボにエドゥリス紫系を交配この交配にはわずかな根拠があるのです。
黄果皮ジャンボと赤紫果皮ジャンボの両方を結実させることができるサマークイーンという種があるのですが、そのサマークイーンは、なんらかの形でエドゥリス紫系とエドゥリス黄実を交配したものだという情報を見たことがあるのです。
なおかつ、私のこれまでの実験によれば、エドゥリス黄実で赤紫果皮ジャンボが結実し、エドゥリス紫系では結実していません。それに合わせて、サマークイーンがエドゥリス紫系とエドゥリス黄実の性質を兼ね備えているからこそ、黄果皮ジャンボと赤紫果皮ジャンボの両方を結実させることができるのだと考えると、エドゥリス紫系で黄果皮ジャンボを結実させることができるのではないか?と考えているのです。

交配実験が思うとおりの結果であれば今後に生きてきますので喜ばしいのですが、いずれにせよ、花粉のない花が出現するような猛暑は困ったものですね。

【2015.09.07追記】(結果を書くのを忘れていました。すみません。)黄果皮ジャンボのめしべへのエドゥリス紫系の花粉の交配は実を結びませんでした。一回の実験で明確な結論はだせませんが、結実しない組合せの可能性があります。