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パッションフルーツの冬越し

パッションフルーツは、南米の熱帯から亜熱帯地域を原産地としています。従って、ほぼ全地域が温帯にある日本の気候とはかなり異なる環境を好むのは明らかです。

特に、低温を嫌うのは顕著で、沖縄、奄美、小笠原を除いた日本の冬の寒さには耐えられず、パッションフルーツを屋外に放置すれば枯れてしまうことも多いようです。私の住む北関東では、ここのところ最低気温-5℃というような日が続いていますが、仕事に向かう道沿いの家庭で、屋外のままのパッションフルーツが無残に枯れているのを見かけます。いきなり訪問して、講釈する訳にもいかず。その家のご主人には是非このブログを見て欲しいものだと思っています。特に黄色種は低温に弱く、10℃以上を保つ必要があるようです。紫種は、低温に比較的強く、水やりを控え目にすれば、0℃までは耐えるのですが、それでも、私の住む地域では、低温から守ってやることが必要なのです。

パッションフルーツを冬越しさせるには、暖房付温室を使う方法と、室内の暖かい場所に取り込む方法があります。温室の場合には、温室代と電気代がかかり、私のような趣味の領域ではなかなか出費に踏み切れません。そこで私は、収穫の終わった株を小さく刈り込んでプランターから鉢に植え替え、リビングの出窓に置いています。鉢に植え替えて家に入れることを『鉢上げ』というようですが、鉢上げは遅くても10月下旬にしないと、植え替えてからの根付きが悪くなるそうです。私も、きっちりその時期に鉢上げしました。

鉢あげ用の刈り込み位置

家に上げるには、プランターのままではなにかと不便ですし、水受けなどもちょいと適切なものが思いあたりません。やはり、鉢に移すのが扱いやすいですね。鉢に移して家に上げるには、置き場所の高さを考慮しなければなりません。私の場合には、冬場でも太陽の恩恵にあずかれるリビングの出窓を選んだのですが、許される高さは鉢込で150cm程度でした。それで、だいたい上の写真の位置で剪定し、切り落とした上の部分は廃棄しました。じつを言うと、この時期は、たくさんの実がついているんです。今後迎える季節柄、熟すことのない実と知りつつも、苦渋の作業でした。こうなることがわかっていても、秋の花を人工授粉してしまうんですよね。

鉢上げの様子上の写真は、現在の冬越し中の株の様子です。120cmの支柱を3本立てて蔓を巻きつかせています。鉢は8号(直径約24cm)です。陽がさしていると、暖房なしでも20℃を超えますし、夜間は23時頃まで暖房が入りますのでやはり20℃を超えます。深夜帯~早朝は、暖房を消しますので室温は下がりますが、それでも10℃くらいまでだと思います。そして、朝の5時に、22℃に温度設定したファンヒーターが動きだします。そんな環境のせいか、鉢上げしてからも育っています。鉢上げ時は、主幹の長さがほぼ1m、数本の短い蔓という状態に整理しました。その後、現在までに、蔓もたくさん出まして、2mに及ぶ蔓もあるかもしれません。大量に熟した実を採るには、梅雨明け前にいかに多くの花を咲かせるかが勝負どころなんです。ですから、冬にできるだけ大きな株をつくり、春にスタートダッシュをかける必要があるのです。そうでないと、樹として出来上がるのが遅れ、実が熟すことのない秋にのみ多くの花が咲くということになってしまします。2013年には、私も同じような失敗をしました。熟して食べた実は30個くらいだったのに対し、秋に廃棄した熟すことの無い実は、大きめな買い物袋一つ分だったのです。そこで、今年は梅雨明け以前に花が咲き乱れる状況にしたいと思い準備しているのです。その為に大切なのはまさに冬の時期なのです。
(【2014.05.09追記】冬越し終了後、この株をグリーンカーテンのネットに誘引しました。5mはあろうかという蔓が何本かあります。このまま順調に行けば、春のスタートダッシュは成功するかもしれません。)
(【2014.11.13追記】後々明らかになったのですが、冬越し中に蔓を伸ばし過ぎ、葉が繁り過ぎたことにより、太陽光が行き渡らず、日陰育ちの葉が外の太陽光で焼けてしまう、”葉焼け”を起こしてしまいました。このことから、冬越し中も蔓が伸びすぎるようであれば適度に剪定しなければならないことがわかりました。)

鉢上げの方法ですが、ポットの小さな苗を『スポッ』とポットから土ごと抜いて植えるときのようなイメージで、予め、株の根元の周囲で、およそ鉢の大きさ程度にスコップを入れ、プランターの中で絡んでいた根と土を極力そのまま鉢に移動することにより、鉢上げ直後の状態が良いのではないかと思いますので、そのようにおこないました。鉢に生じた隙間には新たな土を入れますので、冬の間に株を極力太らせるには、やはり、根付きやすい10月下旬までの鉢上げが必要ですね。

最近では、グリーンカーテンに良し、食べて美味しいパッションフルーツに興味を持たれる方が増えてきているように感じます。
ただ、熱帯性植物であるパッションフルーツの冬の管理がネックとなり、栽培を断念される方が意外に多いのではないでしょうか。家の中に少しのスペースがあれば、パッションフルーツの冬越しが可能ですので、チャレンジしてみては如何でしょうか。

【2014.10.10追記】季節がらか、現在パッションフルーツの冬越しについての皆様のご興味が強いようですので、補足追記したいと思います。
まず、頭に入れておくべきなのは、一度実のついた蔓には花は咲かない一度実が付いた部分には花は咲かない(2014.11.12訂正)ということです。その上で、思い切り株を狩り込む思い切り株を刈り込み、新芽の萌芽を促す(2014.11.12訂正)のが基本です。一般には、主幹の蔓を1m程度、その他の蔓は40~50cm程度で切戻すと良いでしょう。

冬越し時剪定のビフオーアフター
剪定のビフォー・アフター例 画像提供:私もお世話になっていますフラワーショップ江口

蔓の数も数本で良いと思います。葉は、繁り過ぎて折り重なってでもいない限り、意図的に減らす必要はありません。葉があることで、水を吸い上げ、冬越し中の根腐れを防止できますのでむしろ良いと思います。寒さで落葉するようでしたら、その分水やりを減らします。大きなプランターからの植え替えの場合には、鉢の大きさとのバランスを取り、根をトリミングします。そのことにより、小型の鉢への植え込みが可能になります。
重要なのは、春先になって急激に伸びてくる蔓を生かすことです。その蔓には沢山の花が咲くのです。私の冬越しの環境では、3月末頃から顕著に有望蔓が成長しだしました。

【2015.09.03追記】前々から、挿し木苗や鉢あげした株を冬越しのために家に入れるよいタイミングについてうすうす感づいていたのですが、庭のアリたちが地中にもぐる時期がよいように思います。それまでは、パッションフルーツは外で育つようです。
そもそも、アリのいる時期にパッションフルーツを家に入れると、必ずといってよいほど、小さなアリを持ちこんでしまいますので、自然とそうされている方も多いかもしれませんが。

【2014.11.03追記:関連記事】
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【2014.12.17追記:関連記事】
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