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一番花の実と二番花の開花

我が家に庭先では、今年もパッションフルーツの開花期が始まったようです。今はまだ、熱帯性植物のようすとは似つかわしくない、ささやかな状態ですが、ぽつりぽつりと花開く気配です。
爆発的な生育を見せる時期に至るには、もう少しの時間が必要です。人が早朝から半袖半ズボンで気持ち良く散策できるような季節の訪れを待たねばなりません。

しかしながら、ささやかな生育の時期であるからこそ、観察対象が絞り込まれるということがあるのも事実です。

20150531蕾連なる蔓棚用に定植したこの株の蔓には、写真に入っている範囲で5個の蕾が連なっています。そのうち、5日前に開花し咲き終わった(パッションフルーツは一日花です)一番下の一番花と、その上の二番花がこの記事の対象です。

まず一番花につきましては、その果実の育ちかたを見てみましょう。2016初授粉写真には、5月26日と日付が入っていますので、5日前に一番花は咲いたことになります。確実に実を結ぶように、私がお勧めしている方法で授粉しておきました。

結んだ果実が大きくなっているかを知るには、そもそも花のどの部位が果実になるのかを頭に入れておく必要があります。パッションフルーツ花図解下から5個の雄しべが放射状に出ていて、上から三本の雌しべが出ている玉のような部分を子房と言いまして、その部分が果実になります。

つまり、開花時の子房の大きさと、現在の子房の大きさを比較することにより、果実がどれくらい大きくなったかがわかるのです。20160531初開花した花の果実の様子子房は明らかに大きくなっている(目測ですが、直径4mmから8mm)ことがわかります。元気そうな緑色をしているのは健全な証拠です。授粉失敗していると、翌朝には子房は黄色くなってしまいますし、だいいち開花後5日もたつ頃には、花は地面に落ちてしまうことが多いのです。ここのところ、最高気温が20℃というような比較的低温な日が多かったせいか、生育速度は遅いようですが、順調と言えるでしょう。

二番花についてですが、今朝の観察により、”今日咲くよサイン“を確認しておりました。20160531今日咲くよサイン開花当日早朝に見られる蕾の特徴こそが、”今日咲くよサイン”なのです。写真の蕾の先端をよくよくご覧ください。花びらの白が透けて見えますし、わずかに先端がほころびつつあることがおわかりいただけるでしょう。開花日当日の明るくなる時間帯には、開花することを知ることができますので、雨の日などに事前の雨対策をとることも可能になりますので、知っておかれると便利かと思います。

さて、間もなく開花する可能性の高いAM9:30に近づいてきましたので、このへんで暫く外で待機することにします。

只今戻りました。外での滞在時間は数分だったでしょう。外に出ると案の定、開花が始まっていました。ホームセンターなどで良く売られている一本で実を付ける種類のパッションフルーツ場合、そのほとんどは午前咲きなのです。私の経験から、9:30~10:00の間に開花することがほとんどです。(他種の花粉を必要とするような大実系は13:00~14:00頃咲くことが多いです。)

では、開花の様子を写真に収めてきましたのでご紹介しましょう。開花はみるみる進み、まるで動画でも見るように、数分で完了します。20160531開花分解写真開花がはじまると(①)ガクが一枚一枚開きだします。ときどき弾けるような『パチッ』という音がすることがあります。私は、”はちきれんばかりの蕾の複数のガクが開かないようにロックしていた鍵が外れるような音”という感覚で受け止めています。このあたりの動きは、食虫植物が虫を捉える速度に似ているでしょう。おおよそ、植物のものとは思えない速さで全てのガクが開き、②に達します。その後、変わらぬ早さで花は開き、雌しべ、雄しべ、子房といった生殖系があらわになります(③)。そして花は開ききり、開花は終わります(④)。ここで見逃しては損なのは、雄しべの動きです。③では、多くの雄しべは黄色い花粉の付いている面を上にしているのですが、④ではその面は下を向いています。その変化の瞬間はまさに一瞬で、くるりと回転するのです。それは、雄しべが繊細かつ柔軟な方法で付いていることがわかる瞬間です。下を向き、柔軟に動くことにより、虫の身体に花粉を付ける確率を高めるためなのでしょう。(補足:但し、一日花という特性と、生息する虫の性格からか、国内では、自然受粉が成立する可能性は低く、人工授粉することが推奨されています。)

そして更に待つこと一時間、20160531花粉受け入れ態勢OK三本の雌しべは、”グッ”と雄しべに近づくように開きます(上記写真の④参照)。これは、花粉の受け入れ態勢が整った証拠です。未成熟な雌しべの場合には、これが起きません。
一方で、この間に雄しべにも変化がおきています。

開花直後と1時間後の花粉
開花直後(左)と1時間後(右)の花粉

開花直後の雄しべでは、おしべ自体の形状が見え、花粉は目立ちません。しかし1時間経過後になると、おしべは”ほかほかふんわり”とした花粉に覆われ(花粉の少ない場所は、採取時にピンセットでつかんだ痕です)、中央の溝なども見えなくなっているほどです。

これらを満たした花であれば、先に述べた人工授粉により、高確率で結実します。

いかがでしたでしょうか?

興味を持たれて、楽しく読んでいただく中に、お伝えしたいチップスをちりばめてみました。

皆様のお役に立てましたら、幸いです。


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「一番花の実と二番花の開花」への4件のフィードバック

  1. こんにちは。今日我が家でも1輪開花しました。ただ、てっぺんに咲いたのでそのあと脇芽は出ないかもしれません、ついついかわいそうなので、摘心をしない苗に咲きました。
    先週、島に行って来ました。まだまだ気温が低く路地は苗も植えこんでいませんでした。農家のハウス物はまだピンポン玉位の大きさでした。用土は私が見た感じでは島の繊維質の植物のようなたい肥を与えるそうです。多分サトウキビの絞ったカスかもしれません。島の土はどこでも砂の感じでミネラルの多い用土だと思います。ただ、何でも茂る力と大きく成る力が自然に気候を始め条件がそろっているのかもしれません。

    1. yoko様
      こんばんは。

      株の低い位置から新芽を萌芽させたい場合には、
      摘心は有効ですが、植物というものは、高い位置
      ほど樹勢が強まりますので、摘心しない場合でも
      やがて新芽が萌芽することが多いと思います。
      これから気候的にも旺盛さが増しますので、主幹
      一本のみで延びていくことはないでしょう。

      島の土は砂質とのことですが、水はけに関しては
      良さそうですね。パッションフルーツは粘土質の土
      を嫌いますのでその面では良さそうですね。
      一般の培養土でも、バーミキュライトのような鉱物
      由来の物質が含まれています。島の砂質の物質も
      バーミキュライトのように多孔質で水はけと保水性
      と保肥性に富んでいるのかもしれませんね。

  2. はじめまして、去年からパッションフルーツエドゥリス(赤紫)を育て始めました。冬越しの仕方もこちらを参考にしたおかげで、無事に冬を越せました。今回は結実したかどうかの詳しい見方を参考にさせていただきました。とても分かりやすいです、1つ目は受粉失敗したかもしれませんが、これから又咲いてくると思うので、頑張ってみます。赤紫果実は朝開花でよろしかったでしょうか?

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